14 สิงหาคม 2014
「ガンダム Gのレコンギスタ」富野由悠季総監督インタビュー、本日到着!
約15年ぶりの新作ガンダムで富野総監督が目指すものとは?
約15年ぶりのガンダムシリーズ新作となる『ガンダム Gのレコンギスタ』の制作を取り組む、富野由悠季総監督のインタビューが本日8月15日(金)に到着した。
富野総監督が『ガンダム Gのレコンギスタ』にかける思い、そして目指すものとは?
なお、本インタビューは全国のBlu-ray&DVD販売店で無料配布中のフリーマガジン「BEATマガジン9月号」にも掲載されている。まだの人はぜひこの機会に読んでみよう。
──ガンダムシリーズの完全オリジナルとなる新作は『∀ガンダム』以来(約15年ぶり)となりますが、新たに挑戦したことはありますか?
富野: かなりあります。今回のモビルスーツ(以下:MS)のパイロットシートには全部、バキュームトイレがついているんです。これは20年以上前から気にはなっていたんです。今まではあまり切実じゃなかったから、劇中なんだからそれは考えないでいいだろう、みたいな所がありました。僕も体調不全を経験したりして生理的なことを切実に感じるようになったので、メインスタッフが決まった時に、一番最初に依頼したのがトイレのデザインでした。そしてもう一つ、宇宙服を着ていても用が足せるデザイン。これは安田君(メカニカルデザイン:安田 朗氏)に考えてもらいました。僕が簡単に確定させてしまうと、デザインに反映されない不細工なものになってしまう恐れがあるので、安田君に依頼したのです。安田君がラフを描いてきて「どう考えても、ここまでです。ここまで開かないと、用は足せません」って。そこまで割らないと便座に座れないし、用が足せない。だから今回の『G-レコ』に出てくる宇宙服とパイロットスーツ、全部お尻までファスナーがあります。
──本作のタイトル「レコンギスタ」はスペイン語の「レコンキスタ(再征服)」からだと仰っていましたが、それは物語にも関係してくるのでしょうか?
富野: 基本はレコンキスタの精神論でいますけれども、ただレコンキスタというのは宗教色のある言葉でもある。そこからは離したいということで、造語にしました。宗教的な物語ではなくて、観念的な物語にしたくなかったのでこのようにしました。
──今回のガンダム、「G-セルフ」は柔らかい曲線が特徴的なデザインのように見えますが…。
富野: ディテールに関してはガンダム系のデザインを踏襲せざるを得ないので、安田君みたいな天才的な人でないと、次世代のものを出してくれないから彼にお願いしました。その他、多くのMSは形部さん(メカニカルデザイン:形部一平氏)に頼みました。彼がシューズデザインをやっていた人だということが分かったので、そのような人でメカ好きだったらできるだろうって勘が働きました。見事にハマりましたね。靴というのは履くもの、単一性能のものなのに、これだけのデザインが出ている。だから形部さんならデザインとしてのバラエティショウをやってくれるだろうと思いました。並べてみると凄くオモチャ的な品揃えになりました。色んなガンダムがあり、色んな敵役のMSがあり、全部リアルロボットもので総括されるデザイン論がある上でバラエティショウになっています。それともう一つ、今、日本中がゆるキャラを平気に認めてくれる風土があるから、それにマッチングしていくだろうと思いました。本当に形部さんのデザインは変わっていて、アングルを変える際のカタチの読み方が物凄く難しい。もう指示に困ってしまうほどです(笑)。『機動戦士ガンダムUC』までのものだったら、どうってことないメカって感じなのに、形部さんのはメカの形してないんだよ。だけどMSとして一括されるデザインの中にちゃんと入っている、不思議だよね。
──『G-レコ』のキャラクターはこれまでのガンダムキャラクターとはかなり違いますね。
富野: 吉田さん(キャラクターデザイン:吉田健一氏)の描いたキャラクターデザインでそう思われるってことなんですが、問題は、それにちゃんと役者が当て込めるかってこと。キャラクターを考える上でとても大事なことは役者さんがハマってくれて生きてくるということなんです。昨日アフレコもやったので、これで「アイーダは、くるな」とかいうのは分かりました。「あの子は賢くないよ、バカだよ!」って言える部分がとても可愛い。ギャップのあるキャラが多いわけではないんです。そういう意味では凄く分かりやすくなっているはずです。そういう風に配置したつもりです。僕のような年齢でアニメを見た時、キャラクター作りでは「魔法少女まどか☆マギカ」には勝てないなっていうプレッシャーはあるんですよ。今時のああいうものは絶対にできないぞって。
──富野監督の『G-レコ』制作に対しての思いというのは?
富野: おそらく今の日本の状況でいうと、子どもたちに“冒険しろ”というのは、大人が子どもたちに言ってはいけないことなんでしょう。これだけ子どもに安全な国を作ってしまったから、冒険しなくたってお前たち生きていける、っていう錯覚を与えています。だからアニメみたいな媒体で、こういうキャラクターを描いてみせておくことで、リアリズムで子どもたちに外に出てほしいなと思えるし、外に出てくれるようなモチベーションを持ってくれたらありがたいなと思っています。それは「キャプテン翼」があったおかげでサッカーする子が世界中にこれだけいるっていうのと全く同じで、だけどそれを声高に作り手が言ってもしょうがないこと。だから作品でそれを語りたいな、アピールしたいな、とは思っているんだけれども、さぁ、どうなりますかね。
──日本のアニメ業界を牽引していく次世代のクリエイターは今いるのでしょうか?
富野: 今はいませんが、また出てくると思います。今の10歳前後の世代だろうなという風には思っています。やっぱり10代です。10代前半の子たちから、また始まるんだろうなと思っているから、今回この企画にまとまっていったと思います。これだけ種を撒いておけば、これで刺激された子たちが2~3人は出てきてくれるかなと思っています。悔しいけど50年単位になるかもしれない。だから今、種撒きの時期がきて、50年後じゃないかなと思います。そうなった時に本当の意味で、ガンダムワールドっていうものが豊かなものになっていくしょう。『機動戦士ガンダムUC』や『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』だけで終わってしまっては『ガンダム』という作品は一塊でおしまい。「もう一歩、踏み出さなくちゃいけない」って、この企画を立てた時に願っていましたから。そういう糸口みたいなものを手に入れられたかもしれない。だから次の世代が出てくるなら、『G-レコ』を見て育った子たちかなとは思っています。
──ファンへメッセージをお願いします。
富野: 今見てくれている大人世代、俗にいうガンダムファンの人には、とても大事な仕事があります。あなたの子どもたちに『G-レコ』を見せることです。できれば、一緒に観てほしいと思っています。そういう大人の立場、任務とか義務とかっていう風に意識してほしい。『G-レコ』では、21世紀の問題点を並べて定義しておきました。それについての解答は「今の子どもたち、お前ら頼む!」っていう。『G-レコ』だと、こういう話、簡単にできるんですよ。そういう意味では、かなり革新的な作品だと思っているんですけどね。
富野由悠季(とみの よしゆき) 1941年神奈川県生まれ。 アニメーション監督として、『機動戦士ガンダム』シリーズを始め、「無敵超人ザンボット3」、「聖戦士ダンバイン」、「オーバーマンキングゲイナー」など、数々の作品を手掛ける。 |
『ガンダム Gのレコンギスタ』は第1話から第3話をまとめた特別先行版が、8月23日(土)より全国13館でイベント上映が行われるほか、9月8日(月)より「dアニメストア」にて配信される。
さらに、MBSほか「アニメイズム」枠にて10月よりテレビ放送が開始される予定。
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